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ウイスキーの造り方は?グレーンとモルトの違い、製造工程を解説

 

洋酒のなかでも特に人気の高いお酒がウイスキーです。

世界の5大ウイスキーにはジャパニーズウイスキーも含まれており、近年は原酒不足が問題となるほど需要が高まっています。

地域や原料によって味や香りに大きな違いが出るウイスキーですが、その製造法を知れば、さらに楽しみ方の幅も広がるでしょう。

この記事では、ウイスキーの造り方について詳しく解説します。

 

ウイスキーと呼ばれるための条件

どのようなお酒をウイスキーと呼ぶかについて、世界共通の決まりはありません。その定義は国ごとの法律で定められています。

ただし、一般的にはウイスキー発祥のヨーロッパにおける欧州連合(EU)の定義が、ウイスキーの条件として広く受け入れられています。

EUの定義によると、ウイスキーの主な条件は以下の3つです。

  1. 穀物を原料としていること
  2. 蒸留を行っていること
  3. 木製樽で熟成していること

熟成期間は、EUの定義では3年以上とされています。

日本の酒税法上では熟成期間の規定がありませんが、2021年2月に日本洋酒酒造組合が自主制定した基準により、ヨーロッパと同じく「木製樽で3年以上の熟成」が要求されることになりました。

これらの条件を遵守することで、ウイスキーはほかのお酒と明確に区別することが可能です。

例えばウイスキーと同じ穀物を原料とする蒸留酒のウォッカは、熟成せず白樺の炭で濾過しています。

また、ウイスキーと同様に熟成させることが必須となるブランデーは、原料がブドウ(ワイン)やその他の果実となるため、ウイスキーとは異なるお酒であると言えます。

 

ウイスキーの種類

ウイスキーは熟成が終わってから商品として出荷されるまでに、調合や加水、濾過、瓶詰めなどが行われます。

熟成を終えたばかりのお酒は「原酒」と呼ばれますが、原料と蒸留方法によって「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」の大きく2種類に分けられます。

「ブレンデッドウイスキー」は、2つの原酒をブレンドして風味を調節したウイスキーです。

ここではモルトウイスキーとグレーンウイスキーの原料や製法、味わいの違いについて解説します。

 モルトウイスキー

モルトウイスキーは、大麦の麦芽を原料としたものです。

蒸留には折れ曲がった導管を持つ独特な形状の単式蒸留器(ポットスチル)を用います。

蒸留の回数は2回が一般的で、銘柄や蒸留所によっては3回蒸留することもあります。

また、単式蒸留器のサイズや形状によってもできあがる原酒の酒質は異なります。

モルトウイスキーは原料由来の香りや味が色濃く残ることから、個性豊かなウイスキーに仕上がることが特徴です。

スコッチウイスキーなど個性の強さが魅力の銘柄は、その多くがシングルモルトウイスキーです。

 グレーンウイスキー

大麦麦芽以外のトウモロコシやライ麦、小麦などの穀物を主原料としたウイスキーは、グレーンウイスキーと呼ばれます。

こちらはタワー状の連続式蒸留器を使用するため、短時間で大量に蒸留できることが特徴です。

その反面、モルトに比べてクセがなく、穏やかで飲みやすいためモルトウイスキーが好きな人には物足りなく感じるかも知れません。

グレーンウイスキーは風味が控えめなことから、基本的にはブレンデッドウイスキーの調整に用いられます。

ただし、近年では熟成させたシングルグレーンウイスキーも製造されるようになってきています。

 

ウイスキーの作り方・製造工程

ここでは、ウイスキーの製造工程を順番にご紹介します。

主な工程を内容については、次の表にまとめているので、参考にしてください。

工程

内容

1.製麦

大麦を発芽させて乾燥し、麦芽を作る

2.糖化(仕込み)

麦芽のデンプンを糖化させ、麦汁を作る

3.発酵

麦汁を発酵させて、アルコールを生じさせる

4.蒸留

蒸留し、アルコール度数や純度、香気成分を高める

5.熟成(貯蔵)

樽で寝かせて熟成し、味わいや風味を生じさせる

6.ブレンド

原酒同士を混和し、品質を安定させる

7.瓶詰め

出荷できる状態にする

 

 1.製麦

あらゆるお酒造りに共通していることは、糖質を発酵させてアルコールを得るということです。

モルトウイスキーの場合、原料の大麦には糖が含まれていないため、穀物のデンプンを糖に変える「糖化」が不可欠です。

大麦は、発芽の際に糖化を行う酵素を自ら生み出します。

そして、大麦を発芽させて麦芽を作る作業が「製麦」です。

しかし、大麦が成長しすぎるとせっかくの酵素が失われてしまうため、ピート(泥炭)や石炭を焚いて麦芽を乾燥させ、成長を止める作業が必要となります。

スコッチウイスキーなどの特徴となるピート香やスモーク香は、このときに添加されます。

 2.糖化(仕込み)

次に、乾燥させた麦芽を粉砕し、温かい仕込み水を加えます。

すると、製麦で生じた酵素がデンプンを糖に変え、ウォート(甘い麦汁)となります。

また、糖化の過程でタンパク質はアミノ酸に分解されます。

日本酒と同じように、仕込み水やアミノ酸もウイスキーの味わいに大きな影響を与えるため、糖化(仕込み)は重要な工程の一つです。

 3.発酵

糖化させたウォートは、酵母(イースト菌)を加えて発酵させ、アルコール度数が7~9%程度のウォッシュ(もろみ)に変えます。

発酵期間はだいたい2~3日間ほどです。 ここまではビールの醸造工程とほぼ同じと言えます。

 4.蒸留

蒸留は水とアルコールの沸点の違いを利用し、先に沸騰するアルコールや香気成分の蒸気を集めて冷却し、アルコール度数や純度の高い原酒を得る作業です。

先述の通り、モルトウイスキーでは単式蒸留器(ポットスチル)を、グレーンウイスキーでは連続式蒸留器を用います。

単式蒸留器では1回ごとにウォッシュを入れ替えなければなりませんが、連続式蒸留器では1度の蒸留でウォッシュを続けざまに投入できます。

モルトの場合、単式蒸留を2度行うことが一般的です。

1回目を初溜、2回目を再溜と呼び、蒸留を終えたばかりの原酒はニューポットと呼ばれます。

 5.熟成(貯蔵)

ニューポットは基本的に無色透明で、65~70%とアルコール度数が高いことから香りもほとんどありません。

この若く荒々しい原酒をじっくり寝かせることで、ウイスキー独特の琥珀色や芳醇な香り、そしてまろやかな円熟味などが生み出されるのです。

樽材には基本的にオークが用いられ、新しい樽は内面を焼いてから使用します。

華やかな風味に仕上げるために、シェリー酒を熟成させたあとのシェリー樽も好んで使われます。

熟成中は樽の木材から香り成分のポリフェノールや色素成分が溶け出すため、熟成期間がウイスキーの特徴を決定づけると言っても過言ではありません。

同じ原酒を同種の樽で貯蔵しても、熟成期間によって味わいが劇的に変化しますが、そのメカニズムはいまだに詳しく解明されていません。

 6.ブレンド

一定の貯蔵期間を経たウイスキーは、長い年月のうちに樽ごとに個性が現れます。樽から出したまま瓶詰めして出荷するウイスキーは、「シングルカスク」や「カスクストレングス」と呼ばれます。

ただし、樽出しのカスクウイスキーは度数やクセが強く、味や香りも安定していません。

そこで、複数の樽の原酒をブレンドして、同じ味わいや品質のウイスキーに調整する作業が必要です。

この工程は、複数のモルト原酒を混ぜ合わせてモルトウイスキーを造る場合は「ヴァッティング」、グレーン原酒を混ぜたブレンデッドウイスキーは「ブレンディング」と呼ばれます。

どちらのブレンドも、機械ではなくブレンダーと呼ばれるウイスキー職人が行うため、最終的なウイスキーの質はブレンダーの味覚と嗅覚にかかっています。

 7.瓶詰め

ヴァッティングやブレンディングを終えたウイスキーは、「チルフィルタリング」と呼ばれる冷却・濾過の工程を経ます。

そして、加水してアルコール度数を調整したあと、瓶詰めしていよいよ出荷です。

ちなみに、スコッチウイスキーには蒸留所から原酒を樽で購入し、独自に熟成・瓶詰めだけを行う「ボトラーズ」という業者が存在します。

 

ウイスキーの種類や製造工程を知り、味わいの違いを楽しもう

ウイスキーは、原料の違いによって大きく2種類に分けられますが、蒸留以外の工程はほぼ同じ製造方法です。

また、ウイスキーの風味は製法のほかに熟成の期間によって大きく変わります。

そのため、同じ蒸留所でもさまざまな味や香りが楽しめることが、ウイスキーの魅力の一つです。

それぞれのウイスキーが辿った工程や熟成に思いを馳せながら、ぜひいろいろな銘柄を試してみてください。  

 

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