ブランデーの種類とは?原料による違いやランク、有名銘柄を解説
ブランデーは種類が多く高価なイメージが強いことから、敷居が高いと感じている人も多いのではないでしょうか。
確かに、ブランデーにはさまざまな種類やランクがありますが、原料や熟成年数などにより味わいや香りが異なることが大きな魅力です。
この記事では、世界三大ブランデーと呼ばれる銘柄やブランデーに使われる原料の違い、ランクの違いについて解説します。
強いお酒が苦手な人におすすめのブランデーも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
世界三大ブランデーとは
ブランデーとは、果実酒をさらに蒸留した「蒸留酒」の一種です。
世界的に知られているブランデーは「コニャック」「アルマニャック」「カルヴァドス」の3つで、これらは世界三大ブランデーと呼ばれています。
コニャックやアルマニャック、カルヴァドスと名乗れるブランデーは、フランスで定められた原産地呼称のルール「AOC(Appellation d'Origine Controlee)」を満たすものだけです。
ここでは、世界三大ブランデーについてそれぞれご紹介します。
コニャック
コニャックは、フランスのコニャック地方で造られたブランデーです。
ほかの地方で造ったブランデーは「コニャック」と名乗れません。
AOCではコニャックについて、ほかにも以下のようなルールがあります。
●ユニ・ブランのブドウ品種などを使った果実酒(ワイン)を単式蒸留機で2回蒸留する
●オーク樽で最低でも2年熟成させる
コニャックは雑味が少なくまろやかで、繊細な味わいに仕上がることが特徴です。有名な銘柄には、レミー・マルタンやヘネシー、カミュなどがあります。
アルマニャック
フランスのアルマニャック地方で造られたブランデーを、アルマニャックと呼びます。
AOCではアルマニャックについて、以下のルールを定めています。
●主にユニ・ブランのブドウ品種などを使った果実酒を連続式蒸留機で1回蒸留する
●樫樽で最低でも1年熟成させる
アルマニャックはコニャックよりも蒸留回数が少ないため、ワイルドで貫禄を感じるようなコクがある味わいが特徴です。
代表的な銘柄にはシャボーやジェラス、マルキ・ド・コサードなどがあります。
カルヴァドス
カルヴァドスは、フランスのノルマンディー地方の3地域で造られる、リンゴの果実酒(シードル)が原料となるブランデーです。
カルヴァドスには生産地域のほかにも以下のようなルールがあります。
●ノルマンディー産のリンゴ48種から原料を選ぶ ・単式蒸留機で2回蒸留する
●オーク樽で最低2年(地域によっては3年)熟成させる
カルヴァドスはまろやかな味わいとフルーティな香りが特徴です。
有名な銘柄には、瓶の中に丸ごとのリンゴが入っているカルヴァドス・ポム・ド・イブなどがあります。
ブランデーの原料・種類
ブランデーの種類は非常に多く、ブドウやリンゴのほかサクランボ、スモモなどを原料とするブランデーもあります。
最もポピュラーなものはブドウで造ったブランデーです。
それ以外の果物が原料のブランデーは「フルーツブランデー」と呼ばれます。
ブランデーに興味がある人は、いろいろな果物のブランデーを飲んでみると、自分の好みがわかり、新しいブランデーを選ぶときにも役立つでしょう。
ここでは、ブランデーの原料となるフルーツや銘柄について紹介します。
ブドウ
一般的に「ブランデー」と呼ぶときは、ブドウのブランデーを指す場合が多いでしょう。
アルコール度数が高いため「お酒の匂い」を強く感じるかもしれませんが、香りの奥にブドウのフルーティな香りを感じられます。
ブドウを使ったブランデーはまろやかで濃厚な味わいも特徴です。
人気の銘柄には、前述したヘネシーやシャボーのほか、ポールジローやマーテルなどがあります。
ブドウの絞りかす
ワイン造りで果汁を絞ったブドウの絞りかすを原料としたブランデーです。フランスではオー・ド・ヴィー・ド・マールと呼ばれ、イタリア産のものはグラッパと呼ばれます。
グラッパは樽で熟成しないため、透明な色になることが特徴です。
ブドウの皮や二番果汁がたっぷり入った絞りかすを使うため、力強いブドウの風味が楽しめます。
有名な銘柄は、イタリア・ノニーノ社の「グラッパ・モノヴィティーニョ」などです。
リンゴ
リンゴのブランデーはアップルブランデーやアップルジャックと呼ばれています。先述したカルヴァドスもアップルブランデーの一つです。
アップルブランデーは日本でも生産されており、代表的な銘柄にはニッカの「HIROSAKI」などがあります。
ほんのり立ちのぼるリンゴの香りと、まろやかで濃厚な味わいが特徴のアップルブランデーは、強いお酒が苦手な人にも飲みやすいでしょう。
サクランボ
サクランボのブランデーはチェリーブランデーと呼ばれます。
サクランボを蒸留酒に浸けたリキュールをチェリーブランデーと呼ぶこともあるため、選ぶときには注意しましょう。
チェリーブランデーは、ドイツではキルシュヴァッサーと呼ばれており、アウグスト・エルンスト社の「シュペヒト・キルシュヴァッサー」などが人気の銘柄です。
フルーティで爽やかな香りが特徴で、お菓子作りにもよく使われます。
また、カクテルに使っても飲みやすく、お酒に強くない人や初心者にもおすすめです。
洋梨
洋梨を原料としたブランデーをポワールブランデーといいます。
なかでもウィリアムス種の洋梨で造られたブランデーは、フランスではオー・ド・ヴィー・ド・ポワール・ウイリアムの呼び方で区別され、高い人気があります。
ウィリアムス種を使ったブランデーは、フランス・マスネ社のものが有名で、瓶の中に洋梨が丸ごと入ったビジュアルが印象的です。
ポワールブランデーは、繊細な香りとクセがなくまろやかな味わいが楽しめます。
スモモ
スモモのブランデーはプラムブランデーと呼ばれます。
フランスではオー・ド・ヴィー・ド・プリュヌと呼ばれ、ブドウの栽培からワインの醸造、熟成、瓶詰めまでを一貫して行うシャトー・ムートン・ロートシルトの銘柄、オー・ド・ヴィー・ド・プリュヌなどが有名です。
また、東欧や中欧ではスリヴォヴィッツと呼ばれ、広く親しまれているお酒でもあります。
フルーティな香りと雑味のなさが楽しめるよう、ストレートで飲むのがスタンダードとされています。
ブランデーにはランクがある
ブランデーのラベルに「V.S.O.P.」や「X.O.」などの文字を見たことがある人は多いでしょう。
これらの文字は、ブランデーのランクを表しています。
コニャックやアルマニャックのランクには厳格な基準があり、「コント(熟成年数)」によって決まります。ブランデーの熟成1年目が完了すると「コント1」、2年目が完了すると「コント2」と熟年数が増えるにつれてコント数が付与されるルールです。
ブランデーはいくつもの熟成年数のお酒を混ぜて瓶詰めしますが、混合された中で一番若いブランデーのコントにより、コニャックやアルマニャックのランクが決まります。
ブランデーのランクは6種類あり、X.O.が最上級のランクとされています。コニャックやアルマニャックのランクとコントの関係表は以下のとおりです。
ランク |
コニャック |
アルマニャック |
スリースター |
コント2以上 |
コント1以上 |
V.S.(Very Special) |
コント2以上 |
コント2以上 |
V.O.(Very Old) |
- |
コント4以上 |
V.S.O.P.(Very Superior Old Pale) |
コント4以上 |
コント4以上 |
ナポレオン |
コント6以上 |
コント5以上 |
X.O.(Extra Old) |
コント10以上 |
コント10以上 |
いろんな種類のブランデーを試してみては
ブランデーは原料によってさまざまな味わいや香りが楽しめるため、いくつも飲み比べてみると自分の好みのブランデーを見つけられるでしょう。
ブランデーは基本的にはストレートでゆっくりと飲むことがおすすめですが、ソーダで割ったりカクテルに使ったりと、飲み方を変えるとまた違う味わいに出会うことができます。
熟成年数によってもブランデーの味は変わっていくため、同じ種類のブランデーでも年数の違うものを飲み比べたり、ナポレオンやX.O.などランクの高いブランデーを特別な日に味わったりするなど、ブランデーを日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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