ウイスキーを冷凍庫で冷やすとどうなる?おいしい飲み方、注意点とは
栓を開けたウイスキーの保存方法は、基本的には直射日光を避け常温保存で問題ありません。ですが、冷蔵庫で冷やしておいた方が安心という人もいるでしょう。
新品未開封であれば、もちろん常温での保管で問題ありませんが、開封したウイスキーはどういった保存方法が本当の正解なのか気になりますね。
香りの強いリキュールやジンは味わいが変化しやすいお酒ともいわれています。さらにBarではアルコール度数の高いスピリッツなどは冷凍保存することが普通になっているという話も聞きます。さて、ウイスキーはどんな方法で保存、そして冷凍庫で冷やすと味に変化はあるのでしょうか。
この記事では、ウイスキーを冷凍庫に入れるとどうなるか、また冷凍庫で冷やすときのポイントやおすすめの飲み方などについて解説します。
ウイスキーは冷凍庫で保存しても凍らない?
結論から言うと、ウイスキーを家庭用の冷凍庫に入れて保存しても凍ることはありません。
水は0℃で凍りますが、アルコール(エタノール)の融点は-114℃です。したがって、アルコール度数が高ければ高いほど凍りにくくなります。
飲食店やバーでは、ウォッカやジンを冷凍庫に入れてキンキンに冷やしているところもあります。
これらの蒸留酒はアルコール度数が高いイメージがありますが、ウイスキーと同じ40%前後が一般的です。
アルコール以外の含有物にもよりますが、度数が40%のウイスキーは-24~-31℃ほどが融点と言われています。
そして、家庭用冷蔵庫に備え付けられている冷凍庫はおおむね-18℃程度に設定されています。
そのため、理論的にはウイスキーを冷凍庫で保管しても凍ることはありません。
もちろん100%というわけではないため、ウイスキーを冷凍庫に入れる際は後述する注意点に十分気を付けてください。
ウイスキーは冷凍庫で冷やすとおいしくなる
ウイスキーを冷凍庫で冷やすと「トロトロになっておいしい」と言われることがあります。
凍る手前のウイスキーは粘り気が出て、さらに冷たくなることでアルコールを感じにくくなるためです。
舌触りもなめらかになり、ウイスキーのクセやアルコール感が苦手という人でも飲みやすくなります。
一方で、冷やすことでウイスキーの香りも弱くなってしまうため、アロマのような香りが好きという人は、やや物足りなく感じるかもしれません。
しかし、冷やしたウイスキーをゆっくり飲んでいるとだんだんと温まり風味が戻ってくるため、香りが花開いていく過程を追っていく楽しみ方もできます。
ただし、ウイスキーによっては冷凍に向いていないタイプもあります。
特に冷却濾過をされていないウイスキーは、冷凍庫に入れると浮遊物や白濁を生じてしまいます。
その理由について詳しくは後述します。
冷凍ウイスキーでおいしく!フリージングハイボール
キンキンに冷やしたウイスキーは、ストレートやオン・ザ・ロックで飲んでもおいしいですが、ハイボールとの相性も抜群です。
冷凍ウイスキーを使ったハイボールは、「フリージングハイボール」や「氷点下ハイボール」などと呼ばれます。
ハイボールは通常、氷でグラスやソーダを冷やして作られます。そのため、ウイスキーもあらかじめ冷やしておいた方が、温度の差がなくよく馴染むのです。
ソーダ割りは爽快感やのど越しが重要なため、しっかり冷えている方がすっきりと飲みやすく、雑味の少ないクリアな味わいになります。
先述の通り、ウイスキーを冷やすとアルコール感が薄まるため、蒸し暑い夏場などはスイスイと飲めるでしょう。
ただし、アルコール度数は普通のハイボールや水割りと変わらないため、飲む量やペースに注意が必要です。
フリージングハイボールを
おいしく作るポイント
フリージングハイボールの作り方は、普通のハイボールと特に変わりません。しかし、よりおいしく飲むには、以下でご紹介するコツを押さえると良いでしょう。
●ウイスキーとソーダの割合は1:3
ウイスキーとソーダの割合に決まりはありませんが、おおよそ1:3がおすすめです。
強めのハイボールが好きな人は、これを基準にウイスキーの分量を少し多めにしましょう。
●使用するグラスは金属製またはよく冷やしておく
フリージングハイボールは、できるだけ冷たい状態をキープすることがポイントです。
そのため、グラスも保冷力の高い金属製タンブラーなどが理想です。家に金属製の容器がなければ、冷蔵庫で冷やしたグラスを使うと良いでしょう。
●ソーダもよく冷えたものを使う
ウイスキーとグラスだけでなくソーダもしっかり冷やしておくとベターです。
ただし、ソーダは冷凍庫に入れてはいけません。
ソーダは水と同じように凍ってしまうだけでなく、溶ける際に炭酸が抜けてしまいます。
ソーダは冷蔵庫でよく冷やしたものを使いましょう。
●かき混ぜすぎない
ハイボールを作る際は、氷、ウイスキー、ソーダの順で注ぎます。
ソーダは氷に触れると炭酸が飛んでしまうため、できる限り氷に当たらないように静かに注ぎ入れることがポイントです。
また、ソーダを入れたあとはかき混ぜすぎないことも大切です。
ウイスキーとソーダをなじませる程度にそっとステアするだけでおいしいハイボールに仕上がります。
ウイスキーを冷凍庫で冷やすときの注意点
ストレートやオン・ザ・ロック、ハイボールといろいろな楽しみ方ができる冷凍ウイスキーですが、冷凍庫で保管する際にはいくつか注意点があります。
場合によっては冷凍庫が使えなくなってしまう危険性もあるため、しっかり押さえておきましょう。
冷凍庫の温度・冷やす位置に気をつける
前述の通り、ウイスキーの融点は高くても-24℃ほどであるため、一般的な冷凍庫で凍ることはありません。
ただし、機種によってはさらに低い温度に設定できる冷蔵庫もあります。 水は固体(氷)になると膨張して体積が増えるという性質があります。
ウイスキーに限らずお酒が凍結すると、瓶が割れる可能性があります。そのため、ウイスキーを入れる前には冷凍庫の設定温度を確認しましょう。
業務用の冷凍庫を使っている人は、さらに注意が必要です。
業務用冷凍庫は家庭用より強力で、庫内の温度は-20~-30℃が一般的とされています。
そのため、ウイスキーのアルコール度数にかかわらず、冷凍庫でお酒を保存しない方が無難です。
また、設定温度だけでなく瓶を置く位置にも注意しましょう。
冷凍庫の設定温度は庫内をその温度に保つために、送られてくる冷気は設定温度も低くなります。
そのため、冷却された風が直接ボトルに当たる位置に置くと、ウイスキーの融点を下回ってしまう可能性があります。
冷却濾過をしていないウイスキーは
冷凍に不向き
多くのウイスキーは冷凍庫で保存しても問題がありませんが、種類によっては冷凍に不向きなウイスキーが存在します。
ラベルに「Non-chill(ノンチル)」や「Non-chill-filterd(ノンチルフィルタード)」などと書いてあるウイスキーは、低温冷却には向いていません。
「Non-chill」とは、冷却濾過の工程を経ていないウイスキーであることを表し、冷凍庫に入れると綿状の塊を生じたり、白く濁ったりしてしまいます。
これは、ウイスキーに含まれる樽由来の植物ステロールや、発酵の際に生じる脂肪酸・グルコシドなどが析出するためです。
見た目の品質に影響するため、多くのウイスキーではこれらの成分を取り除く冷却濾過を行っています。
ウイスキーで冷却濾過を行う理由は、製造過程でアルコール度数調整のために加水をする段階で、浮遊物や白濁を生じてしまうためです。
アルコール度数が十分に高ければ、これらの成分がしっかりと溶け込むため、加水しても見た目の変化は起こりません。
したがって、シングルカスクやカスクストレングスといった高アルコール度のウイスキーほど、冷却濾過を行わない傾向があります。
逆に言えば、アルコール度数40%程度のウイスキーはほとんど冷却濾過をされています。
一般的な銘柄のウイスキーであれば、そこまで気にする必要はないでしょう。
自宅でフリージングハイボールを楽しもう!
ウォッカやジンと同じように、ウイスキーも冷凍庫で冷やすことで飲みやすくクリアな味わいになります。
いつものハイボールも、冷凍ウイスキーを使うことでまた違った爽快感が味わえるでしょう。
特に暑い時期には、アルコールくささを感じさせない爽やかなフリージングハイボールがおすすめです。
作り方のポイントや冷凍庫で冷やすときの注意点にも気をつけながら、ぜひご家庭の冷凍庫でフリージングハイボールを楽しんでみてはいかがでしょうか。
またストレートやオン・ザ・ロック、水割りなど、キンキンに冷えたウイスキーでさまざまな味わいの変化を楽しんでみてください。
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