酒粕(さけかす)の栄養は?得られる効果や簡単な食べ方を紹介!
体のはたらきをサポートしてくれる発酵食品として、美容や健康に関心の高い人から注目を集めている酒粕(さけかす)ですが、具体的にどのような効果が期待できるのかご存じでしょうか?
この記事では、酒粕(さけかす)に含まれるさまざまな栄養素について、また酒粕を食生活に取り入れることによってどのような体の悩みの改善が図れるかなどを解説します。
酒粕とは
酒粕(さけかす)は日本酒を造る工程で生まれる副産物ですが、最近ではいくつもの栄養を豊富に含む発酵食品として注目されています。
蒸した米・米麹・水を混ぜて発酵させると「もろみ」となり、それをしぼったものが日本酒、しぼりかすが酒粕です。
原料米の約25%が酒粕になると言われており、米由来の栄養素がたっぷりと含まれています。
酒粕には日本酒のような風味があるため、酒粕を粕汁や粕酒などの料理に調味料として使うことで、独特の香りや風味を出すことができます。
栄養素が豊富な酒粕はどんな効果がある?
酒粕には、健康に良いと言われているさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
酒粕に含まれる主な栄養素は、ペプチドや食物繊維、オリゴ糖、ビタミンB群、アデノシン、レジスタントプロテインなどです。
各栄養素の特徴について、またそれらの栄養素を摂取することによって健康にどのような効果が期待できるのか、それぞれ見ていきましょう。
血圧の上昇を抑える
酒粕に含まれる栄養素の一つに、アミノ酸やタンパク質の一種であるペプチドがあります。
ペプチドは含まれる食品の種類によって効果が異なることが特徴です。
酒粕ペプチドは、血圧を上昇させる「アンジオテンシン変換酵素」を阻害し、血圧を低下させるはたらきがあることが認められています。
血圧降下剤よりも緩やかに血圧の上昇を抑えることが酒粕ペプチドの特徴です。
また、酒粕ペプチドには血流を改善する効果もあり、冷え性にも良いとされています。
便秘改善・整腸作用
酒粕に含まれる食物繊維は100gあたり約5gで、私たちが普段食べているご飯の約10倍です。
そして保水性が高い不溶性食物繊維なので腸の中で膨張し、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して便秘の改善に役立ちます。
整腸作用のあるビフィズス菌を増やしたり、腸内の有害物質や脂質を排出したりしてくれるのも不溶性食物繊維の特徴です。
また、米のデンプンを麹菌が発酵させることで生まれるオリゴ糖も酒粕に含まれています。
オリゴ糖も腸内の善玉菌を増やして整腸作用をもたらす栄養素です。
美肌効果
酒粕にはビタミンB群も豊富に含まれています。
ビタミンB1は疲労回復や食欲不振の改善に、ビタミンB2やB6には皮膚のトラブル改善に対する効果が認められています。
特にビタミンB2は肌や粘膜、髪の再生を活性化させるため、トラブルのない美しい肌や髪を維持するために欠かせない栄養素です。
口内炎の回復を助けるビタミンとしても知られています。
また、日本酒や酒粕特有の旨み成分であるα-EGには肌細胞のコラーゲンの生成を活性化させる効果が認められており、化粧品の材料に使用されることもあります。
冷え性を緩和
日本酒や酒粕に含まれる物質アデノシンには、血管の収縮を抑えて血管を拡張する効果が認められています。
血管拡張によって体の末端まで血行が良くなることにより、肩こりや頭痛、冷え性などの症状の緩和が期待できます。
アデノシンには体温を上げる効果や入眠しやすくする効果もあると言われているため、冷え性に伴う入眠障害にお悩みの方は酒粕を使った料理を食生活に取り入れてみると良いかもしれません。
生活習慣病の予防
酒粕には100gあたり約15gのレジスタントプロテインが含まれています。
レジスタントプロテインとは、吸収されずに大腸まで運ばれて食物繊維と似たはたらきをするタンパク質です。
レジスタントプロテインが大腸内の善玉菌を増やすことによって整腸効果が促進されます。
また、レジスタントプロテインにはコレステロール値を下げたり、腫瘍を抑制したりする作用も期待されています。
このほか、酒粕はインスリンと同様に血糖値を下げる作用をする物質が含まれていることもわかっており、糖尿病を改善する効果も期待できるなど、酒粕は美容・健康を維持するためにとても役立つ食材です。
酒粕は加熱すると栄養素がなくなる?
酒粕に含まれる栄養素のうち、食物繊維やミネラルは加熱しても失われません。
しかし、酵母やビタミンを加熱することにより一部が減少したり、水に溶けやすくなったりします。
そこで、酒粕の栄養を無駄なく活用する方法として、酒粕を加熱せずにそのまま使ったり、酒粕の栄養素が溶け出した汁ごと摂取できたりするメニューがおすすめです。
例えば甘酒を手作りすれば酒粕を加熱せずに使うことができます。
とはいえ、加熱しなければ酒粕のアルコール分が飛ばずアルコール度数の高い甘酒になるため、お酒が弱い人は注意が必要です。
酒粕の栄養素が溶け出した汁ごといただくメニューとしては、粕汁や、鍋物などに入れる方法があります。
酒粕をおいしく食べよう!簡単・おすすめレシピ
酒粕を使うレシピとして一般的なものは、酒粕を味噌汁に入れた粕汁、酒粕で野菜や魚などをつけ込んだ粕漬け、甘酒などです。
しかし、酒粕を料理に使ったことがない人にとっては「自分で酒粕料理を作るのは難しそう」というイメージがあるかもしれません。
そこで、酒粕をもっと手軽に食べられる簡単なおすすめレシピを2つご紹介します。少量から作れるので、気軽にチャレンジしてみてください。
酒粕ディップ
クラッカーや野菜をディップして食べるとおいしいソースです。クリームチーズのように、さまざまな料理に使えますよ。
【材料(1人分)】
酒粕:大さじ2
水:適量
クリームチーズ:大さじ2
はちみつ:大さじ1/2~1
お好みのハーブ(ドライパセリなど):適量
【作り方】
1.酒粕を少量の水で溶く(板粕を使う場合。バラ粕を使う場合は省略可。)
2.材料をすべてボウルに入れ、なめらかになるまで混ぜる
3.小皿などに盛り付け、お好みで野菜スティックやクラッカー、スモークサーモンなどを添える
酒粕トースト
酒粕がチーズのような味わいになります。
お好みに合わせてピザ用チーズやフルーツジャム、はちみつなどを一緒に乗せたり、マヨネーズをバターに変えたりと、さまざまなアレンジも可能です。
【材料(2人分)】
酒粕:50g
マヨネーズ:適量
お好みのパン(食パンやバゲットなど):適量
【作り方】
1.酒粕を小さくちぎって耐熱容器に入れ、やわらかくなるまで電子レンジで加熱する(30秒が目安。機種によって所要時間が多少変わるので、様子を見ながら調整してください)
2.パンにマヨネーズと1の酒粕を塗り、オーブントースターで焼く
酒粕の保存方法は?
酒粕の賞味期限は常温で約3カ月です。
常温といっても、できるだけ涼しく風通しの良い場所で直射日光を避けて保存しましょう。
可能であれば密封して冷蔵庫で保存するのが望ましいです。
酒粕は、冷凍保存すれば約1年もちますが、アルコール分の揮発や水分の蒸発を防止するため、冷凍用保存袋などで小分けにして密封するのがおすすめです。
使うときはあ らかじめ自然解凍し、少量日本酒に浸すとおいしく食べられます。
栄養満点の酒粕を食事に取り入れよう
酒粕には、ペプチド・食物繊維・オリゴ糖・ビタミンB群・アデノシン・レジスタントプロテインなど、健康維持や体のトラブルを解消する効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
主に腸内環境や冷え性の改善や美肌、生活習慣病の予防などが、酒粕に含まれる栄養素に認められている効果です。
酒粕は賞味期限も長く、少量から手軽に使えるレシピを含め、さまざまな料理に使えます。
おいしくて体に良い発酵食品である酒粕を、もっと食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 選択結果を選ぶと、ページが全面的に更新されます。
- スペースキーを押してから矢印キーを押して選択します。