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日本酒の造り方は?精米から瓶詰めまでわかりやすく解説

古くは風土記や記紀にも登場し、日本オリジナルのお酒の一つである日本酒。

近年では欧米などにも輸出され、世界的に「SAKE」として親しまれるようになってきました。

国内外で多くのファンがいる日本酒は、手間と時間をかけて丁寧に造られていますが、その工程をご存じでしょうか。

この記事では、日本酒造りの工程について詳しく解説します。

 

日本酒はシンプルな原料ながらも種類はさまざま

日本酒の主な原h2料は米と水、そして米麹と酵母です。

簡単に言えば麹菌が米のデンプンを糖に変え、その糖を酵母菌がアルコール発酵させることにより、お酒となります。

原理としてはシンプルですが、精米の歩合や火入れの回数、各工程での製法などにより、日本酒には実にさまざまな種類があります。

味だけでなく造り方の違いも押さえておくと、日本酒の楽しみ方の幅もぐっと大きく広がるでしょう。

 

日本酒の造り方を製造工程ごとに解説

日本酒の醸造工程は、表にまとめると次のようになります。

順番 工程 概要
1 精米 米を磨く
2 洗米・浸漬(しんせき) 米を洗い、水に浸す
3 蒸米(むしまい) 米を蒸す
4 製麹(せいぎく) 麹を造る
5 酒母(しゅぼ)造り 酵母を増やして酒母を造る
6 醪(もろみ)造り(仕込み) 日本酒の元となる醪を造る
7 発酵 原料を混ぜて発酵させる
8 上槽 醪から生酒を絞る
9 おり引き 不純物を取り除く
10 濾過(ろか) 細かいおりを取り除く
11 火入れ 酵母を失活させ、雑菌を死滅させる
12 貯蔵・調合・割り水 熟成させ、味わいを整える
13 濾過・火入れ 最後の処理を行い、品質を安定させる
14 瓶詰め 出荷できる状態にする

 それぞれの工程については、以下で項目ごとに詳しく解説します。

 1.精米

精米とは、米を削ることです。

酒造の業界では精米することを「磨く」と言います。米の外側には脂質やミネラル、タンパク質などが含まれており、これらを磨いて除くことで日本酒の雑味を抑えることができます。

酒米の磨き具合のことを精米歩合と言い、残ったお米の割合をパーセンテージで表記するのが一般的です。

磨けば磨くほど華やかな香りですっきりした味わいとなりますが、酒造りに必要な米の量が増えるため、コストも増大します。

また、あえて雑味を残した日本酒の方が好みという人もいるため、単純に精米歩合が低い(より磨かれている)ほどおいしいとは言い切れません。

 2. 洗米・浸漬(しんせき)

磨いた米は水洗い(洗米)し、水に浸けます。

これは米の内部全体に水分を行き渡らせ、ムラができないようにするためです。

一般家庭でご飯を炊くときも、芯が残らないようにしばらく水に浸しますが、それと同じ理由です。

ただし、酒造りにおける浸漬はずっと繊細で奥深い作業となります。

造りたい日本酒の味や品質、酒米の品種、その日の気温や湿度など、さまざまな条件を考慮して、浸ける水の量や時間を慎重に調整します。

 3.蒸米(むしまい)

お酒の場合は、米を炊くのではなく蒸します。

これは、炊くと粘り気が出て麹菌がはたらきにくくなってしまうためです。

食べるにはモチモチした食感が好まれますが、酒造りでは外がパサパサで中が柔らかいものが良いとされています。

伝統的には甑(こしき)と呼ばれる大きなせいろが用いられますが、近年では機械での蒸米も一般的です。

 4.製麹(せいぎく)

製麹とは、いわゆる麹(こうじ)造りのことです。蒸した米を30~35℃程度に保たれた麹室に運んで広げ、麹菌を振りかけて繁殖させます。

このとき、麹室に雑菌が浸入すると、せっかくの米麹がダメになってしまう可能性もあります。

そのため麹室には、限られた人しか入ることができません。麹室は、しばしば酒蔵の心臓部とも言われます。

 5.酒母(しゅぼ)造り

麹とともに日本酒造りに欠かせない酵母を増やす過程です。

増やした酵母のことを「酒母(しゅぼ)」や「酛(もと)」と呼び、酒母造りの工程は「酛立て」とも言います。

酒造には「一麹、二酛、三造り」という言葉もあり、麹造りと並ぶ重要な作業です。

具体的には、できた麹に水を混ぜ、酵母と蒸米を加えて発酵させます。このとき、タンクが開けっ放しとなるため、空気中の雑菌も入り込んでしまいます。そのため酒母造りでは、雑菌の増殖を抑えなければなりません。

伝統的な方法では、空気中の乳酸菌を取り込んで乳酸を生成させ、雑菌や野生の酵母を除きます。

ただし、この方法では約1か月を要するため、現在では人工の乳酸を加えるのが一般的です。

 6.醪(もろみ)造り(仕込み)

ここまできてようやくアルコール発酵の段階となります。酒母の入ったタンクに麹・蒸米・水を加えます。麹が米のデンプンを糖に変え、そして酵母が糖を分解してアルコールを生成するのです。 ビールやウイスキーなどの洋酒では、糖化とアルコール発酵を別々の工程で行いますが(単行複発酵)、日本酒では、同時に進行(並行複発酵)します。 糖化と発酵が同時ということは、両方をバランス良く進行させなければなりません。そのため、仕込みでは麹と蒸米を3回に分けて加える「三段仕込み」が古くから行われてきました。3週間~1か月ほどをかけて、じっくりと「醪(もろみ)」が造られます。

 7.発酵

発酵中も、ただ待っていれば良いというわけではありません。

発酵の状態を見ながら、温度調整や水分調整(追い水)などを行います。

また純米酒以外では、この過程で醸造アルコールを加えます。

 8.上槽

できあがった醪から、液体(生酒)を絞る作業を「上槽」と言います。

そして、上槽して残った固形物が「酒粕」です。

一口に絞ると言っても、その時期や絞り方は酒蔵によってさまざまです。

また、ビールに「一番搾り」の呼び方があるように、日本酒も最初にとれる部分を「あらばしり」、その次が「中取り(中汲み)」、最後に出てくる部分を「責め」などと呼びます。

 9.おり引き

しぼりたての日本酒は、白い濁り酒となっています。これを数日間静かに寝かせておくと、おり(滓)が底に沈みます。

おり引きをしない清酒を「おりがらみ」と言い、そのなかでもおりが少ないものを「うす にごり」と呼びます。

また、白濁酒というと「どぶろく」が思い浮かびますが、こちらはそもそも絞り(上槽)の工程を行っていない日本酒で、にごり酒とは別物です。

 10.濾過(ろか)

おり引きをしても、小さな残留物は除去しきれません。

一般的な清酒は、活性炭などを用いて濾過を行います。

逆に、あえて濾過せず若干の雑味や微発泡感を残す無濾過の日本酒もあります。

 11.火入れ

濾過の次の工程が、火入れです。フィルターで濾過しても若干の酵母が残るため、そのままだと少しずつ発酵が進み、やがてお酒の味が変化してしまいます。

火入れは味の変化を防ぐために加熱し、酵母を完全に失活させるのです。

また、日本酒の品質を落とす火落菌(ひおちきん)という乳酸菌が混入しているおそれもあるため、雑菌を死滅させる意味もあります。

火入れを行わない清酒は「生酒」と呼ばれます。

生酒は劣化が早いため、保存技術や物流が発展するまでは、一般的ではありませんでした。

 12.貯蔵・調合・割り水

火入れを行った清酒は、約半年から1年をかけて、じっくりと貯蔵・熟成されます。

冬季に醸造して春から夏にかけて貯蔵・熟成し、秋に瓶詰めしたものが「ひやおろし」です。

また明確な定義はありませんが、およそ3年以上熟成させたものは「古酒」と呼ばれます。

熟成した日本酒は、タンクごとに味わいが少しずつ異なるので、調合や加水をして最終調整を行います。

 13.濾過・火入れ

出荷前の最後の仕上げとして、品質を安定させるためにもう一度濾過と火入れを行うのが一般的です。

2度の火入れをどちらも行わないのが前出の生酒ですが、1回目の火入れだけを省けば「生貯蔵酒」、2回目を省けば「生詰酒」となります。

 14.瓶詰め

いよいよ、瓶やパックに詰めて完成です。    

手間ひまかけて造られた日本酒を味わおう

このようにして見ると、日本酒が造られるまでには実に多くの工程が必要なことがわかります。

また、各工程での作業の手法や省略などによってさまざまな種類のお酒に分かれるのも、日本酒の大きな魅力や奥深さと言えます。

普段なにげなく飲んでいる日本酒ですが、こうした手間や時間に思いを馳せると、より一層味わい深く感じられるのではないでしょうか。

千葉県の地酒専門サイトの「CHIBASAKE」では、本記事で紹介したさまざまな種類の日本酒を取り揃えています。

ぜひこの機会に、造り方の異なる日本酒を取り揃えて、味わいや香りの違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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