熟成酒って何?マニア必見の奥深い日本酒だった!
なんとなく、「日本酒はつくりたてが1番美味しい!」と思っていませんか?
もちろんフレッシュな新酒も素敵ですが、何年も熟成されたお酒でしか味わえない豊潤な香りは、1度飲んでしまえば病みつきになるほど!
今回は、そんな熟成酒の魅力について迫っていきましょう。
熟成酒とは?
そもそも熟成酒とはどういうものなのか、ご紹介していきます。
熟成酒ってどんなお酒?
日本酒をゆっくりと寝かせた熟成酒ですが、実は「これが熟成酒である!」という決まりはありません。
日本酒のラベルには原材料や製造時期など、最低限記載しなければいけないことが定められていますが、熟成酒はそれに当てはまらないのです。
つまり、どんなお酒を熟成酒と呼ぶかは酒造次第ということですね。
ただ、長期熟成酒研究会によると、「満3年以上酒蔵で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を熟成酒と定義づけているとか。
味や見た目はどんな感じ?
日本酒は、熟成が進むにつれて色が変化していきます。
「透明→黄色→琥珀色→褐色」といったように、年数が経つにつれてお酒の色も濃くなっていくのです。
また、熟成香と呼ばれる熟成酒独特の香りは、黒糖や蜂蜜のようなこっくりとしていて、口の中に含むと、とろっとした味わいと甘みや苦味、酸味などが増して生まれた濃厚さを感じることができます。
実は、「ひやおろし」も
熟成酒の一種だった!
秋の日本酒と言えば欠かせないのが「ひやおろし」ですよね。
ひやおろしとは、冬につくった日本酒を春先に火入れし、秋まで熟成した後2度目の火入れを行わないまま出荷される日本酒です。
要は、春に絞ったお酒を夏の間熟成させたお酒ということですね。
春先にすぐ出荷をしないことで、絞りたての荒々しさがとれ、丸みを帯びた味わいを楽しめるのです。
ひやおろしは、
- 9月頃に出回る「夏越し酒(なごしざけ)」
- 10月頃に出回る「秋出し一番酒(あきだしいちばんざけ)」
- 11月頃に出回る「晩秋旨酒(ばんしゅううまざけ)」
と3種類に分けられます。
月をまたぐごとに濃厚な味わいになるひやおろし。
熟成酒初心者の方は、まずひやおろしからチャレンジしてみましょう。
どうして熟成酒はまろやかになるの?
熟成酒は、しぼりたての新酒と比べると「角が取れた丸みを帯びた味」と表現されます。
これは、日本酒内の水分子とアルコール分子が関係しています。
完成したばかりの日本酒は、水分子とアルコール分子が結びついていません。
つまりアルコール分子がむき出しのまま存在しているので、荒々しく刺激が強いと言われるのです。
これは、新酒独自のフレッシュさに繋がります。
一方、熟成酒は長く貯蔵することで、水分子とアルコール分子が密接に結びつきます。
アルコール分子を水分子が包むように取り囲むので、まろやかな味わいが生まれるのです。
熟成酒にぴったりのおつまみはこれだ!
人によってはクセが強いと感じてしまう熟成酒。
しかし、「10年熟成させて、やっと若造。」と話す酒蔵の方がいるほど、奥深い味わいを楽しむことができます。
そんな熟成酒をもっと楽しみたいなら、おつまみにもこだわるべき!
こちらでは、熟成酒にぴったりのおつまみを紹介します。
日本酒は味わいや香りによって
4種類に分けられる
「熟酒」「爽酒」などの言葉を、居酒屋で見たことはありませんか?
日本酒は、その風味や香りによって4タイプに分けることができます。
①軽快ですっきりとした「爽酒(そうしゅ)タイプ」
②華やかな香りが特徴の「薫酒(くんしゅ)タイプ」
③お米の旨みを感じられる「醇酒(じゅんしゅ)タイプ」
④深い旨みとどっしりとした飲みごたえの「熟酒(じゅくしゅ)タイプ」
熟成酒は、この中で④「熟酒タイプ」にあたる日本酒です。
熟酒タイプは、
濃い味付けにも負けない日本酒
濃厚な味わいを楽しめる熟成酒は、濃い味付けのものや、クセの強いおつまみにも負けない日本酒です。
お互いの旨みが喧嘩することなく、引き立ててくれるので、日本酒だからと言ってさっぱりしたものを合わせるのではなく、こってりとしたおつまみに挑戦してみましょう。
おすすめのおつまみとしては、すき焼きや豚の角煮、カレーなど。
熟成酒の中には、中国の代表的なお酒である紹興酒(しょうこうしゅ)と似た味わいのものもあります。
このため、麻婆豆腐や北京ダックなど、中華料理にも相性はバッチリです。
熟成同士を合わせるということでは、チーズや塩辛、酒盗などもおすすめですよ。
熟成酒は自宅でつくれる!?
ついつい虜になってしまう熟成酒ですが、その手間や時間からお値段は少々お高めです。
1つのボトルで1万円以上する熟成酒も珍しくありません。
手軽に熟成酒を楽しみたい方は、自宅で日本酒を寝かせてみましょう。
こちらでは、熟成酒を自宅でつくる方法をご紹介します。
熟成酒にする日本酒の選び方
熟成酒を作るためには、適した日本酒を選びましょう。
まず、ラベルに「生」と書かれたお酒はおすすめできません。
「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」は、それぞれ加熱処理を1度だけ、もしくは全く行っていない日本酒です。
通常2度行う加熱処理数を少なくすることで、フレッシュな味わいになっていますが、酒質が安定していないので、自宅での熟成は難しいです。
また、無ろ過の日本酒ならお米の旨みが瓶内に残っているので、コクをしっかりと感じられる熟成酒をつくれるでしょう。
自宅での熟成方法
日本酒の種類によって、自宅での熟成方法は異なります。
常温で保存しましょう。
押入れや床下など、家の中でも涼しいところに置いておくことがおすすめです。
最初の1年は冷蔵庫内4℃の環境下で保存します。
そのあとは15~18℃の場所に置いておきましょう。
熟成させる時に、最も注意しなければいけないのが紫外線です。
日本酒は紫外線を浴びてしまうと、味わいや香りが変わってしまいます。
直射日光はもちろん、蛍光灯や冷蔵庫の中にも紫外線は降り注いでいるので、必ず新聞紙を巻いて保存してください。
心配な方は、紫外線を遮断する日本酒用の袋が売られているのでチェックしてみましょう。
どのくらい熟成するべき?
長期熟成酒研究会では、満3年以上熟成したものを熟成酒と呼ぶとされていますが、自宅でつくる場合はもっと気楽に考えてください。
つくった本人が美味しいと感じれば、それは上手く熟成できたということ。
「あまり濃厚な日本酒は好みじゃないから、1年だけ熟成しようかな。」なんて思いも、もちろん問題ありません。
また、少量の日本酒を複数買ってきて、1年、2年と年数ごとに味を確かめてみると面白いかもしれませんね。
赤ちゃんが生まれた時に
熟成酒をつくる方もいる!
赤ちゃんが生まれた時、「20歳になったら一緒に飲もうね。」との想いを込めて、熟成酒をつくる方も少なくありません。
子どもと一緒に成長していく熟成酒は、20年経った時豊潤な味わいを楽しませてくれるでしょう。
中には、お酒好き友達への結婚祝いに「熟成酒をつくってね。」の意味を込めて、日本酒をプレゼントする方も増えてきているようです。
熟成酒にはロマンが詰まってる!
「熟成酒」と一括りにしても、味わいはそれぞれ全く異なります。
こっくり甘みを感じられるもの、上品で飲みやすいものなど多岐に渡るので、ぜひ好みの熟成酒を見つけてみてください!
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