日本酒ってどんな種類があるの?「大吟醸」「本醸造酒」「純米酒」の違いとは?
日本を代表するお酒「日本酒」は、種類が多いゆえに、何が何だかよく分からない!という方もいるでしょう。
今回は、日本酒の種類をわかりやすく解説してみました!
種類を覚えておくと、日本酒をもっと好きになることができますよ◎
日本酒は特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)と普通酒に分けられる
特定名称酒とは、国が決めた条件に合致するお酒のことです。
厳しい条件がたくさんあるので、普通酒に比べると値段がお高めとなっています。
普通酒はカップ酒やパック酒などでよく見かけますね。
価格は安めですが、もちろん美味しいお酒もたくさんありますよ。
特定名称酒は、「純米酒(じゅんまいしゅ)」「本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)」の2つに分類することができます。
純米酒と本醸造酒の違い
純米酒と本醸造酒は原料に違いがあります。
純米酒の原料は「米、米こうじ、水」に対し、本醸造酒は「米、米こうじ、水、醸造アルコール」でできています。
醸造アルコールとは、サトウキビなどを原料にしたアルコールです。
醸造アルコールを加えることで、本醸造酒はすっきりとした味わいになるのに対し、純米酒はお米の味をしっかり感じられます。
醸造アルコールを加えることは江戸時代から行われており、「飲み疲れをしないすっきりしたお酒を作りたいから」との想いから始まりました。
醸造アルコールを加えたからといって、お米の味が損なわれることはなく、それぞれの魅力があります。
特定名称酒は
8種類の日本酒に分類できる
先ほど、特定名称酒は原料によって純米酒と本醸造酒に分けられると話しましたが、精米歩合や造り方によって、さらに細かく8種類に分類できるのです。
【特定名称酒名】 |
【原料】 |
【精米歩合】 |
【香りなど】 |
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純米酒 |
純米大吟醸酒 |
米、米こうじ |
50%以下 |
吟醸造り・固有の香味と色沢が特に良好 |
純米吟醸酒 |
60%以下 |
吟醸造り・固有の香味と色沢が良好 |
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特別純米酒 |
60%以下 または特別な醸造方法 |
香味と色沢が特に良好 |
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純米酒 |
指定なし |
香味と色沢が良好 |
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本醸造酒 |
大吟醸酒 |
米、米こうじ、醸造アルコール |
50%以下 |
吟醸造り・固有の香味と色沢が特に良好 |
吟醸酒 |
60%以下 |
吟醸造り・固有の香味と色沢が良好 |
||
特別本貯蔵酒 |
60%以下 または特別な醸造方法 |
香味と色沢が特に良好 |
||
本貯蔵酒 |
70%以下 |
香味と色沢が良好 |
さて、この8種類の日本酒について知るために、精米歩合と吟醸造りを解説していきましょう!
精米歩合とは
精米歩合とは、酒米をどれだけ削って日本酒を造ったのかを示した割合です。
この「削る」という言葉は、「磨く」と表現します。
例えば、40%の純米大吟醸酒があるとしましょう。
これは、酒米の外側を60%磨いたということを示しています。
お米の表面には、たんぱく質やビタミン、脂肪などたくさんの栄養分が詰まっていますが、日本酒を造る上では多く含みすぎると雑味の元となるのです。
一般的に、精米歩合が低いもの、つまりお米をたくさん磨いたものほど、すっきりとした味わいになり、外側部分を残しているものほどお米のコクや旨みを感じることができると言われています。
先ほどの表を見てみると、「純米酒」「本醸造酒」共に上に記載されているものほどすっきりとした味わいなのです。
吟醸造りとは
「純米大吟醸酒」「純米吟醸酒」「大吟醸酒」「吟醸酒」とは、吟醸造りと呼ばれる特別な製法で造られた日本酒です。
精米歩合を60%以下(大吟醸は50%以下)の酒米を使用し、じっくりと低温で発酵させることで、吟醸香という特有の香りをつくりだします。
他の日本酒は12〜13度で発酵させるのが一般的ですが、吟醸造りでは酵母が生きられるギリギリの温度である10度前後で発酵させるのです。
これによって、梨やりんごのようなフルーティーな香りとすっきりとした味わいを楽しむことができます。
ワインが好きな方は、ぜひチェックしてほしい日本酒です。
特別純米酒、特別本貯蔵酒の
「特別」って何?
表に記載されている特別純米酒と特別本貯蔵酒の欄を見てください。
「60%以下 または特別な醸造方法」と書かれていますよね。
つまり、この2種類のお酒は精米歩合が60%以下ではなくても、特別な醸造方法で日本酒を造っていれば、特別純米酒や特別本貯蔵酒と名乗ることができます。
特別な醸造方法に、明確な決まりはなく、「長期低温発酵で造られている」「特定の酒米を100%使用している」などが例に挙げられます。
特別な醸造方法で造られている場合は、日本酒のラベルに記載されているので、ぜひチェックしてみてください◎
絞り方による分類

日本酒は、お酒の元になる「酛(もと)」、蒸米、米こうじ、水を入れ発酵させた醪(もろみ)を絞ることで完成します。
この絞り方によって、様々な名称がつけられているのです。
どぶろく
どぶろくとは、醪を絞らずにそのまま瓶詰したお酒です。
どろっと白く濁ったものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
日本酒を造る過程で生まれるどぶろくですが、実は日本酒ではありません。
酒税法では、米、米こうじ、水を発酵させこしたものを日本酒と呼ぶので、どぶろくには当てはまらないのです。
お米の栄養がたっぷり含まれ、お米の甘さを味わえるどぶろくは、「脂質の吸収を抑える」「美肌になる」「腸内環境の改善」など、様々な効果も期待されていますよ。
にごり酒
醪を絞る際に、あえて荒い目の酒袋を使うことで、お米の破片などの「おり」を残したお酒です。
おりが残っているため白く濁っており、その見た目からどぶろくと混同されがちですが、全くの別物であることを押さえておきましょう。
おりを含むことから、お米本来の濃厚な味わいを楽しむことができます。
底に溜まりがちなおりを混ぜてクリーミーさを味わってもいいですし、あえて上澄みとおり部分を別々に飲むのもおすすめです。
冷酒で飲むのが基本のにごり酒ですが、冬場はぜひ熱燗でとろみのましたお酒を試してみましょう。
おりがらみ
醪を酒袋で絞った後も、どうしてもおりは残ってしまいます。
このおりを取り除かないお酒を、おりがらみと呼ぶのです。
おりの量が多いにごり酒に比べると、おりがらみは比較的すっきりと味わえる日本酒です。
普段の日本酒よりも、もっと濃い味を飲んでみたいけど、失敗はしたくない!という方は、おりがらみから試してみてはいかがでしょうか。
無ろ過
醪を酒袋で絞った後、ろ過をして雑味やにごりを取り除くのが通常の日本酒における造り方です。
ろ過をすることで、私たちがよく目にする透明感のあるお酒に仕上がります。
しかし、それをあえてろ過をせず、お米本来の旨みや個性を存分に活かすお酒を無ろ過と呼ぶのです。
無ろ過のお酒は、多少のにごりと黄色みがかかった見た目が特徴です。
濃厚で重量感のあるお酒ですが、ろ過をされたお酒しか飲んだことない方には好き嫌いが分かれるかもしれません。
絞る段階による分類
同じ酒袋に入れて醪を絞っても、最初に出てきたお酒と最後に出てきたお酒では、味わいが異なるのです。
こちらでは段階によって異なる3種類の日本酒を紹介します。
3種類のお酒がブレンドされて1つのボトルになっていることが多いですが、個別で味わえるものを見つけたらぜひ飲み比べをしてみてください◎
あらばしり
醪を絞る時に、最初に出てくるお酒のことです。
薄く濁っており、アルコールの度数は低めになっています。
フレッシュ感と荒々しさのある味わいと、発酵して間もないことからピリリと舌に感じる炭酸ガスが特徴です。
中取り(なかどり)
あらばしりの次に出てくるお酒で、中汲み(なかぐみ)とも呼ばれています。
醪を絞る際に、中間に位置するお酒だと考えてください。
最も綺麗な酒質と言われており、バランスの良い香りと味が魅力で、日本酒の鑑評会でも出品されることの多いお酒です。
見つけたらぜひ味わってほしい日本酒です。
責め
絞りの最後に、圧力をかけて出すお酒です。
圧力をかけた分、雑味が多くなりがちだと言われていますが、その分濃厚で通好みな味わいとも言えるでしょう。
複雑な日本酒の味わいを楽しめる部分となっています。
火入れによる分類
通常の日本酒は貯蔵前に火入れをし、瓶詰め時にもう1度火入れを行います。
これは日本酒に含まれる酵母の動きをストップさせ、菌の繁殖を防ぎ酒質を安定させるためです。
一方で、あえて火入れを行わない日本酒の種類もあります。
生酒(なまざけ)
加熱処理を一切行なわず、酵母が生きたままのお酒です。
すっきりとしている火入れに比べて、フレッシュでジューシーな味わいを楽しむことができます。
ただ、酵母が生きているのでちょっとしたことでも味が変わりやすいのが難点です。
冷蔵保存はもちろん、開封したら菌の繁殖を防ぐために3日以内には飲むようにしてくださいね。
生詰め(なまづめ)
貯蔵前だけ火入れをしたお酒です。
火入れを1度だけしか行わないので、通常の日本酒よりも新鮮な風味を味わえます。
生酒と比べると比較的酒質は安定していますが、冷蔵保存がおすすめです。
秋になるとよく見られる「ひやおろし」「秋あがり」も生詰めの一種。
春に造ったお酒を1度火入れし、秋に出荷させる「ひやおろし」は江戸時代から親しまれてきた深みのあるお酒ですよ。
生貯蔵
火入れを行わずに貯蔵し、瓶詰めの際に火入れをしたお酒です。
生詰め同様、一般的な日本酒よりもフレッシュさを楽しめます。
お米本来の風味が出ている生酒が苦手な方は、生貯蔵や生詰めがおすすめですね。
味わいと香りでの分類
もしかしたら、居酒屋などで目にしたことのある分類かもしれません。
日本酒は、味わいや香りで4種類に分けることができます。
爽酒(そうしゅ)
生酒、生詰め、低アルコールなどが当てはまりますね。
穏やかな香りと淡麗な味わいが特徴です。
軽快でシンプルなので、飲む季節を問わず1年を通して楽しむことができるでしょう。
癖がないので、どんな料理にも合わせることができます。
薫酒(くんしゅ)
純米大吟醸、大吟醸などの日本酒が当てはまります。
さっぱりとした味わいと華やかな香りが特徴のきれいなお酒です。
ワインのようなフルーティーな風味で、日本だけではなく世界でもファンが多いですね。
カルパッチョのようなさっぱりした料理にぴったり合います。
醇酒(じゅんしゅ)
主に純米酒など、ふっくらとしたお米の旨みが感じられるお酒です。
落ち着いた香りのなかに、芳醇でふくよかなコクを感じることができます。
醇酒はお米の良さがぐっと詰まっているので、お米に合う料理ならなんでもマッチしますよ。
例えば、煮物や炒め物、牛乳やチーズを使った料理にも合わせてみてください◎
熟酒(じゅくしゅ)
古酒、秘蔵酒、長期熟成酒などの日本酒が当てはまります。
熟成されたかぐわしい香りと、甘味、酸味、苦味などがバランスよく合わさった深い味わいが楽しめるんです。
濃い味付けのお酒にもどっしりとした味わいの熟酒なら、負けることなくマッチできるでしょう。
これだけは押さえておきたい!日本酒の種類
日本酒を楽しみたいなら、押さえておきたい種類が2つあります。
ぜひ、こちらもチェックしてみてください◎
原酒
一般的な日本酒は、日本酒を作る過程で加水を行います。
加水をすることで、アルコール度数や香りなどのバランスを整えているのです。
一方、原酒は加水を一切行なっていません。
このため、アルコール度数が18〜20度と高く、力強く濃厚な飲み口が特徴です。
スパークリング
スパークリングとは、炭酸ガスを含んだ日本酒を指します。
「発泡日本酒」「発泡清酒」などとも呼ばれていますよ。
アルコール度数が低く、甘い味わいのものが多いので、日本酒が苦手な方も楽しめる日本酒です。
種類を知れば日本酒をもっと好きになる!
この記事では、特定名称酒はもちろん、醪の絞り方や味わい、香りから分類される日本酒も紹介しました。
日本酒の種類を押さえておけば、好みのお酒を見つける際にも役立ちます。
「種類が多すぎて無理!」と思わずに、少しずつ覚えていってみましょう◎
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