日本酒の世界は奥深く、その奥深さの一端を成すのが酒米（さかまい）の種類です。
今回は、日本酒愛好家たちを魅了してやまない酒米の種類である「愛山（あいやま）」にスポットを当て、その魅力を初心者にもわかりやすく解き明かします。

 愛山（あいやま）とは？愛山の誕生

愛山は、比較的新しい酒米で、1949年に兵庫県立明石農業改良実験所で誕生しました。
酒米の王様「山田錦」と原生種である酒米「雄町」を祖父母に持ちます。そして、山田錦と雄町を掛け合わせた酒米「山雄67」を父方、雄町系譜の酒米「愛船117」を母方として誕生しました。
両方の頭文字を取って「愛山」と名付けられました。
日本酒をより豊かな味わいにするため、長年の研究と試行錯誤の末に開発された品種です。
大粒で心白が大きい愛山は、酒造りに適した条件を備えておる一方、粒が大きく稲穂の背が高くなると垂れてしまい倒れることから栽培が難しいという難点もあります。
栽培が難しく生産量が少ない一方で、愛山が持つ、すばらしい特性が日本酒ファンから愛されています。続いては愛山の味の特徴について述べていきたいと思います。

 愛山の味の特徴

愛山は「十四代」の銘柄で日本で最も人気のある日本酒を製造する山形の高木酒造株式会社が、愛山を使った日本酒づくりを始め人気に火がついた酒米です。
愛山でつくる日本酒は、旨味、コク、酸味がしっかりと感じることができ、甘くジューシーな味わいなことが特徴です。
愛山は粒が非常に大きい特性と、もろく水に溶けやすいという特徴を持っています。そのため米の成分が溶けやすい性質があり、濃厚・濃醇な味を出すと言われています。
さらに、華やかでフルーティーな香りを多く出す麹・酵母と組み合わせることによって、エレガントで芳醇な日本酒が生まれます。
その華々しい香りとフルーティーな味わいは、リンゴやメロン、桃などの果物のようで、米でつくったとは思えないほど驚きを感じます。口当たりは柔らかくジューシー、優しい甘みを感じるので女性や日本酒初心者の方にもピッタリです。

 他の酒米との違いは？

【栽培】

愛山の栽培は、そのデリケートな性質から非常に手間がかかります。粒が大きいという特性はありますが、稲穂が倒れやすく栽培が難しいため生産量も限られます。粒は大きいのですが、崩れやすく酒米としての扱いも難しくなります。収穫量が少ないため愛山を使用した日本酒は少量生産に留まりがちです。
この愛山の希少性から、愛山を使用した日本酒の価値を一層高めています。

【香り】

日本酒造りには多くの酒米が用いられますが、愛山は特に香り高い日本酒を生み出す点で他の酒米と一線を画しています。同じ香り系酒米である「山田錦」と比較しても、愛山はより芳醇で甘い香りが特徴で、香り立ちが良いため、特に吟醸酒や大吟醸酒に適しているとされています。

 愛山の楽しみ方

愛山米から醸される日本酒は、さまざまな表情を見せます。冷やして飲めば、そのクリアな味わいとフルーティーな香りをダイレクトに感じることができます。
ボトルを開けてから一晩経つと、甘味と旨味が増して、より複雑な味わいが楽しめます。さらに、季節や料理に合わせて温度を変えることで、その時々の最適な飲み口を発見することができるのです。

【ペアリングの提案】

愛山米の日本酒は、その能淳でジューシーな味わいから和食はもちろんのこと、洋食との相性も抜群です。
例えば、クリームソースのパスタや、バターを効かせた白身魚のポワレなど、コクのある料理と合わせると、酒のフルーティさが引き立ちます。逆に、シンプルな塩味の料理と合わせることで、愛山の味わいが主役になるペアリングもお楽しみいただけます。

【特別な日の楽しみ方】

愛山を使った日本酒は、その希少性から、特別な日のお祝いや贈り物としても最適です。美しいボトルに入った愛山の酒は、見た目にも豪華で、受け取った方を喜ばせること間違いありません。

 愛山を使った日本酒

CHIBASAKE.comで取り扱っているおすすめの日本酒を紹介いたします。希少酒米・愛山を使用した贅沢な純米大吟醸酒が千葉県鴨川市の酒蔵・亀田酒造さんから発売しています。

寿萬亀 純米大吟醸 愛山 あいやま

希少価値の高い幻の酒米「愛山」を磨き上げた純米大吟醸酒。丁寧に長期低音醗酵をさせ、米の旨味をじっくりと引き出しました。
2020年 DLG品質協議会　金賞受賞
2022年 IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ) 2022「SAKE部門・純米大吟醸の部」銀メダル受賞

 まとめ・愛山の将来

いかがでしたか？愛山は、日本酒を深く知る一歩として、また新たな日本酒体験の扉を開く鍵として、皆様におすすめしたい酒米です。今夜、あなたも愛山のジューシーで香り高い酒で、日々の疲れを癒し、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。新しい発見がそこにはあるはずです。