「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」とは?日本酒の味を示すポイントをマスターしよう
自分に合う日本酒を選びたい時、あなたなら何をチェックしますか?
純米酒や吟醸酒など、特定名称酒の種類?
または、精米歩合や使用されている米の品種などでしょうか。
実は、甘口や辛口などの味を示すポイントとして、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つも大切な判断材料になります。
今回は、これら3点について詳しく解説していきます。
日本酒の甘口や辛口ってどんな味わい?
「この日本酒は辛口だね!」なんて言葉を聞いたことがあるかと思います。
では、この辛口や甘口とはどのような味わいを指しているのでしょうか?
日本酒の辛口は、唐辛子のようなピリッとした辛みや、塩分を多く含んだ塩辛さを感じるということではありません。
辛口と言われるお酒は、苦味や酸味、アルコールなどの刺激が強いものを指します。
また、甘さが少ない日本酒も辛口と言われますよ。
一方、甘口の日本酒は、お米の甘さをこっくりと感じられるものが多く、まろやかで刺激が少ないものがあります。
甘口、辛口のどちらが飲みやすいのかはその人の好み次第になるので、ぜひどちらのタイプのお酒も試してみてください。
日本酒度とは?
日本酒のラベルを見てみると、「日本酒度 -3」「日本酒度 +1.4」などの表記が見つかります。
では、この日本酒度とは一体何を表しているのでしょうか?
日本酒度は
糖が含まれる割合を示している
日本酒度は、日本酒の中にどれくらいの糖が含まれているかを表したものです。
糖の含まれている割合は、温度が4度の水に対して15度の日本酒が軽いのか、重いのかを基準に設定します。
日本酒が水より軽ければプラス、重ければマイナス、同じ重さなら日本酒度は±0になるのです。
基本的に、「数値が大きい(プラスの数値)=糖が少ない」ということで辛口、「数値が少ない(マイナスの数値)=糖が多い」ということで甘口と言われています。
日本酒度は
アルコール分を指標にしている
では、どうして日本酒度の数値が大きいと、辛口になるのでしょうか?
実は、日本酒度はお酒に含まれるアルコール分を指標に考えられているのです。
日本酒と水の重さを比較したとき、
- 糖が少なくてアルコール分が多いと、水より重くなる
- 糖が多くてアルコール分が少ないと、水より軽くなる
という結果がでます。
この結果から、日本酒度がプラスということは、糖よりアルコール分が多いために、辛口になると言われているのです。
日本酒度の表し方は
- 日本酒度がプラスに傾いている=アルコール分が多い(辛口)
- 日本酒度がマイナスに傾いている=アルコール分が少ない(甘口)
とも言い換えられますね。
日本酒度は「日本酒度計」で測る
日本酒が水より軽いのか重いのかは、「日本酒度計」と呼ばれる器具で測ります。
日本酒の中に日本酒度計を浮かべ、目盛りをチェックするのです。
日本酒度計が高く浮くほど日本酒度はマイナスになり、深く沈むほどプラスになります。
ただ、日本酒度は、日本酒が甘口か辛口かの判断材料にもなりますが、単にプラスだからと言って絶対に辛口!とも断言できません。
これは、日本酒の味わいが、糖の他にも酸度やアミノ酸などの割合も大きく関係してくるためです。
詳しくは、『日本酒の味は「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」のバランスで決まる』の項をチェックしてみてくださいね!
酸度とは?
では、次に日本酒の味わいに関係の深い「酸度」についてお話していきましょう。
酸度は味の濃淡を表す
酸度とは、日本酒の中に含まれる酸の量を表すものです。
これだけ聞くと、なんとなく「酸っぱいか酸っぱくないのかということかな?」と思うかもしれませんね。
もちろん、日本酒に酸が多いとき、味わいに酸っぱさがプラスされることもありますが、酸の役割はそれだけではありません。
酸度は日本酒における味わいの濃淡を示しており、酸が多ければ濃く、少なければさっぱりとした味に感じます。
また、酸はお酒の味を引き締めるので、「酸度が高い=キリッとした味わいの辛口」、「酸度が低い=丸みを帯びた甘口」になりますよ。
日本酒には
たくさんの酸が含まれている
日本酒に含まれている酸は、1種類だけではありません。
乳酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸など様々な酸が含まれており、これらのバランスによって味わいも変わるのです。
例えば、ヨーグルトにも含まれる乳酸は、日本酒に刺激的な酸味を与えてくれます。
「日本酒に乳酸!?」と驚く方もいるかもしれませんが、実は日本酒をつくる際に、乳酸を加える工程が存在するのです。
乳酸菌には、日本酒造りにとって有害な物質を退治する役割がありますよ。
他にも、貝類に多く含まれる旨味成分のコハク酸はコクのある深い酸味、リンゴ酸やクエン酸は果物を思わせる強い酸味を持っています。
アミノ酸度とは?
日本酒の味わいをつくる要因であるアミノ酸。
このアミノ酸の量がどれくらい入っているのかで、日本酒の味も変わってきます。
アミノ酸度は、日本酒の旨みを表す
その名の通り、アミノ酸度とは日本酒に含まれるアミノ酸の量を示します。
アミノ酸は旨み成分なので、多く含んでいる日本酒はコクを感じられ、少ないとさっぱりとした口当たりと言われていますよ。
そもそも、日本酒に含まれているアミノ酸は、お酒をつくる工程でお米のタンパク質が分解される際に発生します。
つまり、日本酒に使われるお米が多ければ多いほどアミノ酸は発生するので、「お米・米こうじ・水」だけでつくられている純米酒はアミノ酸を多く含んでいるのです。
一方、たんぱく質はお米の表面部分に多いため、大吟醸などお米をたくさん削ってつくる精米歩合の低い日本酒は、アミノ酸度が低い傾向にあります。
このため、精米歩合の低い大吟醸などのお酒は、すっきりとした飲み口を感じられるのです。
アミノ酸度が高いお酒は
燗酒にぴったり!?
日本酒は、温度を変えて楽しめるお酒です。
「冷酒」「冷や(常温)」「燗酒」と大きく分けて3種類の温度に分けられ、温度によって味わいも変化します。
吟醸酒など香りの高い酒がおすすめと言われていますが、一方コクのある日本酒は香りが広がる燗酒がぴったり!
温めて飲むことで日本酒のコクや香りが増し、味わいのふくらみを感じることができます。
アミノ酸度が高いものは、お米の旨みを感じやすいので、燗酒にするとより美味しく味わえますよ。
ちなみに、燗酒がぴったりのお酒は、アミノ酸度が高いものだけではなく、
- 純米酒
- 無ろ過のもの
- ミネラルを多く含んでいるもの
など、お米のコクを感じやすいものも挙げられます。
「じゃあアミノ酸度が高いお酒を選ぼう!」と考える方もいるかもしれませんが、好みが分かれることもあるので注意しましょう。
日本酒の味は「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」のバランスで決まる
例えば、日本酒度が+6度のお酒があったとします。
「日本酒度がプラスだから辛口かな?」と思うかもしれませんが、このとき「絶対に辛口です!」とは言い切れません。
これは、日本酒の味わいが「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」のバランスで決まるからです。
日本酒度が高くても酸度が低ければ甘く感じることがありますし、もちろんその逆パターンも存在します。
また、お酒の味は「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」以外にも「香り」が大きく関わってくるのです。
日本酒度がプラスで糖をあまり含んでいなくても、フルーツやお花のような甘い香りを持っているお酒は甘く感じられることがあります。
このため、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」はあくまで目安として考えることが大切です。
ちなみに、美味しいお酒を見つけたときにそれぞれの数値をメモしておくと、日本酒選びの参考になることがあるので、ぜひ試してみてください。
千葉県でおすすめの甘口・辛口のお酒6選
では、隠れた酒どころと呼ばれる千葉県の美味しい日本酒を、甘口・辛口に分けてご紹介しましょう。
お米の味わいを感じられる!
甘口の日本酒 3選
「お米のふっくらとした甘みを感じたい!」と思っている方へ向けて、おすすめの甘口日本酒をピックアップしました。
聖泉 備前雄町 純米大吟醸 竹岡(和蔵酒造)
「和」の文化を人の「和」で繋ぎたいという想いから、お酒づくりに取り組んでいる和蔵酒造。
そんな酒造が自信を持っておすすめするのが、こちらの日本酒です。
4大酒造好適米の1つに数えられている「備前雄町」を100%使用したお酒で、口当たりがなめらかな味わいを楽しめます。
上品な香りと甘みのある風味で、重さを感じないお酒となっています。
勝鹿 純米吟醸 宝船(窪田酒造)
窪田酒造は、日本酒づくりにおいて量より質をコンセプトに、雑味となるこうじを限りなく除去しています。
「勝鹿」は窪田酒造の代表銘柄でもあり、お米の甘さを感じることができる日本酒です。
精米歩合55%の吟醸酒なので、さらっと飲むことができますよ。
ボトルに描かれた七福神と宝船の絵柄で、気分が盛り上がること間違いなしです。
総乃九十九里 純米大吟醸(寒菊銘醸)
寒菊銘醸は、「革新」「安心」「真心」を念頭に、丁寧なお酒づくりをしています。
ビール好きの方ならご存知の方も多い「九十九里オーシャンビール」も、実は寒菊銘醸がつくっているんですよ。
さて、こちらの日本酒酒ですが、大吟醸ならではのフルーティーな香りが特徴です。
香りが主張しすぎないので、普段の食事ともぜひ合わせてほしいお酒でしょう。
純米ならではのお米のふくらみと、すっきりとしたバランスをぜひ楽しんでみてください。
キリッとした味わい!
辛口の日本酒3選
「今夜はすっきりとしたお酒で楽しみたい!」という方にぴったりな、辛口の日本酒を集めてみました。
大多喜城 純米吟醸(豊乃鶴酒造)
江戸時代から創業している豊乃鶴酒造は、すっきりとした味わいの中に確かなコクを見出せる日本酒をつくっています。
こちらのお酒は、そんな豊乃鶴酒造1番人気の日本酒です。
酒造好適米の「山田錦」と「美山錦」をブレンドしており、口当たり爽やかな飲みやすさが特徴です。
後味には確かなコクも感じられ、日本酒が苦手な方にもおすすめしたいお酒です。
稲花 純米かもし酒(稲花酒造)
稲花酒造は、伝統を重んじると同時に革新的なお酒づくりを行っており、他のどれにも当てはまらないきめ細やかな日本酒をつくっています。
こちらのお酒は、稲花酒造で40年以上定番となっている日本酒です。
甘い花のような香りがふんわりと広がり、冷酒として飲むとキレの良さも感じられます。
常温では、甘みやコクを一段と感じられるので、1本で2度おいしい日本酒と言えます。
金波銀波 寿萬亀(亀田酒造)
神事、慶事と深い関わりを持つ亀田酒造は、その高品質な日本酒から、料亭や旅館でも千葉を代表する地酒としてノミネートされています。
爽快な味わいとなめらかな飲み口に、きっと驚く方も多いはず。
手間暇をかけてつくられた日本酒を、ぜひ楽しんでみてください。
「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」マスターになろう!
「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」がどんなものかを覚えておけば、日本酒のラベルをみたときに、なんとなく辛口か甘口かの目安にすることができます。
また、「寒くなってきたから、燗酒で温まりたい!」なんてときも、アミノ酸度が高いお酒をチョイスできるなど、日本酒選びの選択肢が広がりますよね。
ぜひ、3つのポイントを押さえて、美味しい日本酒をゲットしましょう!
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