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醸造アルコールとは?悪酔いするという噂の真偽について

日本酒には醸造アルコールが添加されているものと、されていないものがあります。 

よく、「醸造アルコールが入っている日本酒は、美味しくないよ。」「醸造アルコールが入っていると、悪酔いする。」という声も聞きます.

が、結論から言いますとそれ大きな間違いです。醸造アルコールが添加されている日本酒もおいしいですし、醸造アルコールが入っているからといって悪酔いに大きく影響するということは特にありません。

醸造アルコールには大きな魅力があるからこそ日本酒に使われているのです。

では、どうしてこのような誤解が生まれてしまったのでしょうか?

そこで今回は、

  • 醸造アルコールとは何か
  • 醸造アルコールを使う理由
  • なぜ醸造アルコールに悪いイメージがついてしまったのか

についてお話していきましょう。

   

醸造アルコールとは

醸造アルコールとは、食用に用いられるアルコールのことで、でんぷんを発酵させて作られています。 

主にサトウキビを原料とすることが多く、醸造アルコールを含んだ日本酒はスッキリとした味わいになるのです。

よく醸造アルコールを化学薬品のように考えている方もいますが、実際は焼酎と同じ蒸留酒であり、梅酒の原料として使われることもあります。

日本酒を造る際に使用するのは30%ほどに薄めた醸造アルコールで、ほぼ無味無臭なので日本酒の味わいには大きな影響を与えないと言われています。

醸造アルコールを使う理由

日本酒は「米・米こうじ・水」で造られたお酒と、「米・米こうじ・水・醸造アルコール」で造られたお酒があります。

米、米麹、水のみでつくられた日本酒が純米酒(純米大吟醸、純米吟醸、純米酒)。醸造アルコールを添加したものは純米が付かない精米率によって大吟醸酒、吟醸酒、本醸造酒などになります。

ここで、「醸造アルコールを使わなくても日本酒は造れるのに、なんで使うの?」と感じた方も多いでしょう。

では、醸造アルコールを使うとどんな良いことがあるのかお話していきます。

 フルーティな吟醸香を生み出す

日本酒の香りと醸造アルコールの関係性をお伝えする前に、吟醸香について解説していきましょう。

吟醸造りという独特の手法で造られた「吟醸酒」は、吟醸香と呼ばれるフルーティーな香りを放ちます。

この吟醸香を発生させるには、60%以下の精米歩合が必要になるのです。

また、一般的に日本酒を造る際12~13度ほどの温度で発酵させるのに対し、吟醸酒は10度前後と酵母が活動できるギリギリの温度で行います。

このため酵母はストレスを受けて、梨やりんごのような吟醸香のもととなる成分を発生するのです。

フルーティーで華やかな香りの吟醸酒は、日本酒嫌いの人の概念をガラッと変えてしまうほど飲みやすく、インパクトもあるためにプレゼントとしても喜ばれる日本酒でしょう。

そんな吟醸香は、醸造アルコールとも強い関わりがあり、吟醸香のもとになる成分・エスチルは、醸造アルコールに溶けやすい性質を持っています。

このため、醸造アルコールの入っている吟醸酒と入っていない純米吟醸を比べると、吟醸酒の方がより華やかな香りがすると言われているのです。

実際、コンクールに出品される日本酒は、香りを印象付けるために醸造アルコールが添加されているものも多数みることができます。

華やかな香りの日本酒が好みの方は、ぜひ醸造アルコールが添加されたものを選んでみましょう。

 スッキリとした 爽やかな味わいになる

本醸造酒を飲んだ時、「あれ、後味がスッキリしている!」と思ったことはないでしょうか?

これは、醸造アルコールが酒質に大きく影響しているからです。

日本酒が辛口か甘口かを判断するとき、「日本酒度」という表示を参考にする方も多いと思います。

日本酒度とは、日本酒の中に含まれる糖分の度合いを表しており、プラスの数値が高いほど辛口、マイナスの数値が高いほど甘口となるのです。

醸造アルコールの添加量が増えるほど日本酒度はプラスになるので、スッキリとした辛口の日本酒が出来上がります。

ただ、日本酒には糖以外にもコハク酸やアミノ酸など、さまざまな成分が含まれており、それらが複雑に絡み合って味わいを表現しているのです。

コハク酸などの酸は酸っぱさだけではなく、味を引き締める効果もあるので、例えば日本酒度が同じでもコハク酸などの酸度が高いと辛口、逆に低いと甘口に感じる傾向があります。

醸造アルコールは、日本酒度を高めてスッキリとした爽やかな味わいにする効果がありますが、日本酒は糖の量だけで味わいを決められないので、日本酒度が高くても甘いと感じることは少なくありません。

 美味しさを長持ちさせてくれる

醸造アルコールを添加しない日本酒は、酵母の力で酒質を決めていきますが、酵母は生き物であるため酒の品質が不安定になることがあります。

そこに醸造アルコールを加え、味わいを調整すると、酒質が安定して日本酒の美味しさを長持ちさせることができるのです。

さらに醸造アルコールを入れるとアルコール度数が上がるので、もろみの腐敗を防止する効果もあります。

また、日本酒の腐敗原因である火落ち菌の発生を防ぐのも、醸造アルコールのを加えるメリットの1つでしょう。

火落ち菌は乳酸菌の一種ですが、日本酒に入り込むとお酒を白濁させ、鼻にツンとくるような匂いや味わいを変化させてしまいます。 

このような火落ち菌を防止させて味わいを劣化させない役割も、醸造アルコールは担っているのです。

醸造アルコールは悪酔いする?

醸造アルコールを添加した日本酒をアル添と呼び、敬遠する方もいます。

では、本当に醸造アルコールが入った日本酒は悪なのでしょうか?

 「醸造アルコール=悪酔いする」 は間違い

醸造アルコールが含まれた本醸造酒などを飲むと、悪酔いするという噂が囁かれていますよね。

しかし、この噂は間違いです。

そもそも醸造アルコールは食品に由来するものから作られているので、健康に害があるとは言えません。

またほとんどの場合、お酒を飲んで悪酔いをするときは、飲みすぎてアルコールを分解する速度が追いついていないことが原因です。

お酒を飲むと体の中でアセトアルデヒドという有害物質が発生します。

アセトアルデヒドを分解する速度は人によって異なり、その人の限界濃度を超えてしまうと頭痛や吐き気などの悪酔いを引き起こしてしまうのです。

日本酒は適度に甘く飲みやすいお酒なので、自分でも気づかないうちに飲みすぎてしまうことはよくあります。

つまり、醸造アルコールの入っている日本酒が悪酔いの原因ではなく、自分の許容範囲外までお酒を飲みすぎてしまうことが頭痛や吐き気をもたらしているのです。

 なぜ悪酔いのイメージがついたのか

では、なぜ醸造アルコールは悪酔いするというイメージがついているのでしょうか?

この理由は、醸造アルコールが添加され始めた昭和時代にまで遡ります。

当時は太平洋戦争の真っ只中だったため、日本酒の原料となるお米が非常に不足していました。

しかし日本酒の需要は上がる一方だったので、お米を使わずに日本酒の量を増やすべく醸造アルコールの添加が提案されたのです。

1943年には、日本政府がアルコール添加を認め、全国各地で作られるようになりましたが、まだまだ未発達な製法だったため、不安定な味になってしまうことも多々あったのだとか。

終戦後、物資不足が続く中で醸造アルコールはさらに進化し、ブドウ糖やアミノ酸などを含んだアルコールが開発されました。

高品質な醸造アルコールが開発されたために、原液となる日本酒の量はどんどん少なくなり、当時は一升瓶分のお酒から日本酒を3本作っていたことから「三増酒」と言われていたそうです。

この日本酒が薄まった三増酒が、今の醸造アルコールは悪というイメージを作り上げてしまいました。

しかし、2006年には三増酒の販売が法律で禁止されたので、以前のような不安定な味わいの日本酒を口にする心配はありません。

醸造アルコールが使われている日本酒の種類

華やかな香りを出し、スッキリと爽やかな味わいを作ってくれる醸造アルコール。

では、そんな醸造アルコールはどんな日本酒に使われているのでしょうか?

日本酒は、さまざまな条件をクリアしたお酒のみが名乗ることを許される「特定名称酒」と、特定名称酒以外の「普通酒」に分類されます。

特定名称酒は造り方によって、さらに「本醸造酒系」「吟醸酒系」「純米酒系」と分けられるのです。

この中で醸造アルコールを含んだ日本酒は、

  • 本醸造酒系
  • 吟醸酒系
  • 普通酒

以上の3種類です。

では、これら3種類の特徴とおすすめの日本酒を紹介しましょう。

 本醸造酒系

本醸造酒系は、「米・米こうじ・水・醸造アルコール」から作れられており、以下の条件からさらに「本醸造酒」「特別本醸造酒」の2種類に分類されます。

  • 本醸造酒:精米歩合が70%以下で香味や色が良好なもの
  • 特別本醸造酒:精米歩合が70%以下または特別な醸造方法で、香味や色が特に良好なもの

おすすめ本醸造酒系腰古井 本醸造生酒

自社で所有している山の軟水を使って造られた「腰古井 本醸造生酒」。

地元千葉県産コシヒカリを100%使用し、火入れを一切行なっていないため、スッキリとした軽快な味わいを楽しむことができます。

コシヒカリの旨みを感じられるやや辛口の日本酒は、飲み飽きせずに最後まで楽しめますよ。

おすすめ本醸造酒系旭鶴 特別本醸造 拾壱萬石

7代目当主の「こんなお酒を飲みたい!」という思いから造られたこちらのお酒。

キレのある旨みと香りを心ゆくまで楽しめる、食中酒としてもおすすめしたい日本酒です。

ぜひ、お酒本来の味わいを楽しめる常温で楽しんでください。

おすすめ本醸造酒系銚子の誉 本醸造

味と香りのバランスが取れた、石上酒造の代表的な銘柄です。

酸度が1.4度と高く強い味わいが感じられるこちらのお酒は、マニアをも唸らせる絶品の日本酒でしょう。

常温で絶妙な調和の味わいを堪能してみましょう。

 吟醸酒系

吟醸酒系は、「米・米こうじ・水・醸造アルコール」から作れられており、以下の条件からさらに「吟醸酒」「大吟醸酒」の2種類に分類されます。

  • 吟醸酒:精米歩合が60%以下の吟醸造りで、香味や色が良好なもの
  • 大吟醸酒:精米歩合が50%以下の吟醸造りで、香味や色が特に良好なもの

おすすめ吟醸酒系花いちもんめ 吟醸酒

「美山錦」、「酒こまち」を60%まで精米したこちらのお酒は、澄んだ喉越しとお米の風味がたまらない味わいです。

高い品質を保った状態で出荷されており、千葉の日本酒の底力を感じられること間違いなし。

冷やすとキリッとした飲み口を味わえ、ぬる燗にするとふんわりとしたお米のいい香りを楽しめますよ。

おすすめ吟醸酒系超特撰 東灘 大吟醸

こちらの日本酒は、全国新酒鑑評会にて金賞を受賞した名誉あるお酒です。

山田錦を35%まで磨き上げており、フルーティーな香りとなめらかな味わいが日本酒ファンから高い評価を受けています。

よく冷やして飲むと風味を楽しめるので試してみてください。

おすすめ吟醸酒系聖泉 吟醸酒

地元千葉の特産にこだわって造られたこちらの日本酒は、千葉県の酒造好適米である「総の舞」と「ふさこがね」を使っています。

クリアで軽快な味わいは、生カキなど素材の味を楽しめる料理と相性抜群!

ぬる燗にするとやさしい口当たりがさらに広がりますよ。

 普通酒

普通酒とは、さまざまな条件をクリアした「特定名称酒」以外の日本酒を指します。

精米歩合が基準値より高かったり、米や米こうじ以外の原料を使用した場合も普通酒と言われるので、普通酒だからといって全てに醸造アルコールが入っているわけではありません。

「さまざまな条件をクリアしていないってことは、普通酒って美味しくないの?」と思ってしまうかもしれませんが、普通酒とはいわば毎日の食卓と共にあるような親しみやすいお酒です。

価格もリーズナブルな普通酒は、酒飲みから愛され続けている日本酒と言えるでしょう。

日本酒の醸造アルコールはメリットがいっぱい!

日本酒を好きな方だと、「お米と米こうじ以外のものが入っている日本酒なんて嫌!」「醸造アルコールの添加されたお酒は苦手…」と思うかもしれません。

しかし、醸造アルコールは日本酒のフルーティーな香りを引き立てて、スッキリ爽やかな味わいを出してくれるメリット満載の原料なんです。

ぜひ、「醸造アルコールなんて...」と言わずに、さまざまな日本酒を飲んでみてくださいね。

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